2008 年 9 巻 1 号 p. 46-50
関節軟骨は無血管組織であるが、軟骨の分化や骨化において、あるいは関節疾患における組織変性において、vascular endothelial growth factor (VEGF)などの血管新生因子の関わりが最近示唆されている。これらの因子は、軟骨組織における低酸素環境によって発現が誘導されることが知られており、病変関節においては、炎症による酸素分圧の低下が、VEGF発現誘導などを介して関節破壊を悪化させる可能性がある。今後、軟骨における低酸素の制御、および血管新生因子の発現抑制を介した、新たな関節疾患の治療戦略の確立も期待される。