2011 年 26 巻 3 号 p. 311-315
20歳,男性。2008年5月頃より頭頂部に腫瘤が出現し,近医で切開・吸引されたが,短期間で腫瘤が再増大した。同年8月20日に当科を初診した。表面に凹凸のある約15 cm×10 cmの腫瘤が頭頂部にあり,血痂や潰瘍を伴い,易出血性であった。病理組織学的に,真皮,皮下組織に小型円形で均一なCD99陽性の腫瘍細胞がシート状に増殖し,RT-PCRでEWS-FLI1,EWS-ERGは陰性であった。免疫学的検索,FISHの結果よりEwing肉腫と診断した。原発巣と所属リンパ節に対する放射線照射と化学療法を行ったが,無効であった。腫瘍の重さ,悪臭と外観が患者のQOLを損なっていたため,Mohs軟膏を用いた腫瘍の硬化療法と,腫瘍減量術を施行した。その結果,手術時の出血量を少量に抑え,腫瘍を約半分の大きさに減量することができ,患者のQOLの改善をみた。Mohs軟膏は根治不能な皮膚悪性腫瘍の姑息治療に有用である。