Skin Cancer
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一般演題
放射線治療が著効した悪性黒色腫の2例
西坂 尚大高田 知明柳澤 健二肥田 時征Akihiro YONETA山下 利春坂田 耕一古畑 智久近藤 敦神保 孝一
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2012 年 27 巻 1 号 p. 107-113

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抄録

 症例1:74歳,男性。鼻出血出現。上咽頭部に黒色腫瘍を認め,生検より悪性黒色腫と診断。手術を行わず,放射線治療を行った。その後,頸部リンパ節転移を認め,郭清術施行。化学療法を行った。郭清術後6年以上腫瘍再発や転移を認めていない。症例2:72歳,女性。直腸に悪性黒色腫出現。腹会陰式直腸離断術およびD3郭清を行うも7年後に構音障害出現。上咽頭部の転移性悪性黒色腫と診断し,放射線治療施行。速やかに病変の縮小を認めた。照射部の局所再発は認めていない。悪性黒色腫は放射線治療に抵抗性であることが知られており,放射線治療は症状緩和目的においてのみ行われている。しかし,強度変調放射線治療や陽子線治療など,近年の照射機器の向上により,正常組織を回避し,より高線量の放射線照射が可能になってきた。今後,悪性黒色腫の根治的治療の選択肢の一つとして放射線治療が用いられることが期待される。

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© 2012 日本皮膚悪性腫瘍学会
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