2014 年 29 巻 1 号 p. 68-74
近年,手術困難な悪性腫瘍に対する患者のquality of life(QOL)向上という緩和治療目的でMohsの変法が施行されている。しかし,Mohsの変法のデメリットとしてpasteによる疼痛と,正常皮膚へ付着すると潰瘍を形成することがあげられる。2010年より我々はMohs pasteの塗布時間を1時間以内に短縮し,乳癌皮膚浸潤の2症例に対しMohsの変法を施行した。2症例ともに疼痛に耐えることができ患者のQOLを改善できた。また,2012年より亜鉛華デンプン外用療法を乳癌皮膚浸潤の3症例に施行した。3症例ともに疼痛がなく,正常皮膚にも障害を起こすことなく患者のQOLを改善できた。Mohsの変法だけでなく,亜鉛華デンプン外用療法も患者のQOL改善に寄与しうると考えた。