抄録
85歳,男性。40年来尋常性乾癬に罹患しており,外用療法やシクロスポリン,メトトレキサート,エトレチナートの内服,PUVA療法(計378回,総照射量393 J/cm2)等で加療。78歳頃より体幹・四肢に有棘細胞癌(squamous cell carcinoma:SCC)あるいは日光角化症が多発し,85歳までに22個の病変を切除した。初回SCC切除7年後に右鼠径部にリンパ節転移が出現した。右鼠径リンパ節を所属リンパ節とする病変は3ヵ所で,いずれもtumor thickness(TT)は2 mm未満だった。TTが薄いにもかかわらずリンパ節転移を生じた理由として,ステロイドの長期外用による皮膚の菲薄化および局所免疫の低下が一因と考えた。