Skin Cancer
Online ISSN : 1884-3549
Print ISSN : 0915-3535
ISSN-L : 0915-3535
投稿論文
右頬部有棘細胞癌の近傍に出現した悪性黒色腫の1例
清水 智子稲毛 明子坂本 淳吉池 高志
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 32 巻 1 号 p. 66-70

詳細
抄録

89歳,男性。右頬部有棘細胞癌術後,3年8ヵ月で同部位に腫瘤が出現した。再発を疑ったが,腫瘤は黒色を呈しており,生検の結果悪性黒色腫と判明した。すでに頸部リンパ節転移,肺転移,咬筋浸潤を来しており,手術適応外と考えた。Stage IVであり,高齢である本人の意思に加えて,家族も薬物療法や姑息的手術を望まず,経過観察となった。1年10ヵ月後,腫瘍表面からの出血により入院,その3週間後に永眠された。当初,有棘細胞癌の再発が疑われたが,同部位に出現した二次原発皮膚癌の症例と考えた。皮膚の重複癌や二次原発癌のリスクが,我が国ではそれほど多いとは思われていない。しかし,高齢化時代を迎えて今後より大きな注意が払われるべきであろう。この問題については議論を呼んでいる白人種における統計を基に考察を加えた。

著者関連情報
© 2017 日本皮膚悪性腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top