2019 年 34 巻 2 号 p. 136-139
症例:70歳,男性。半年前より右外踝下方に疼痛を伴う小潰瘍が生じ,生検にてSCCと診断された。踵骨骨膜,腱鞘上で腫瘍を切除したが断端陽性であった。踵骨を削って拡大切除し,深部断端陰性を確認した。初診1年後に植皮下に再発し,切除および放射線治療を併用した。原発巣に再燃はなかったが,初診2年6ヵ月後に膝窩転移を生じた。膝窩廓清を試みたが非治癒切除となり,放射線化学療法を施行した。初診4年後膝窩部に再発し,大腿切断を説明したところ2週間後に縊死された。①術後放射線療法のタイミング,②下肢大切断の是非および提案の時期,③大切断を提案された高齢患者への精神的サポートや医療者と家族の連携,などの様々な問題に直面したので貴重な症例と考えて報告した。