2019 年 34 巻 2 号 p. 176-181
69歳,女性。下腹部に紅色皮疹が出現し,徐々に拡大したため当科を受診した。
当科初診時,90×50 mmの鱗屑を付す境界不明瞭な紅斑局面がみられた。
病理組織学的検査で表皮内にパジェット細胞があり,乳房外パジェット病と診断した。2cmマージンで拡大切除し,分層植皮を行った。外陰部,腋窩,肛囲などの乳房外パジェット病の好発部位以外に生じた報告例は,自験例を含め48例あった。それらはアポクリン腺が存在している部位や副乳が発達している部位に生じるとされている。アポクリン腺が存在するとされる頭頸部,胸腹部での発症が多く,乳房外パジェット病とアポクリン腺との関連が示唆された。一方,副乳の好発部位とされる腋窩前膨隆部に生じた例はわずかであり関連性は薄いと考えた。