2021 年 36 巻 1 号 p. 60-64
33歳,男性。出現時期不明だが,腰背部皮下腫瘤が数日で21×20×10 cmまで急速に増大した。MRIで血腫を疑い,血管塞栓術後に可及的に摘除した。病理組織学的に低悪性度悪性末梢神経鞘腫瘍(Low grade MPNST)と診断した。追加切除後に放射線を照射し,術後2年経過しているが再発・転移を生じていない。非神経線維腫症の患者に生じた巨大MPNSTが腫瘍内出血により急速に増大したと考えられた。腫瘍は大半が良性の神経線維腫様組織で構成されており,発生母地として蔓状神経線維腫を疑った。