当教室で昭和52年11月から昭和60年4月までに経験した有棘細胞癌80例中, 転移を示した11例 (転移率14%) について報告した。年齢は25歳から88歳, 性別は男5例, 女6例であった。原発部位は手3例, 顔面・下肢・足が各2例で, そのほか上肢・外陰が各1例であった。嚥下性の肺転移を認めた顔面発生の1例を除いて全例に所属リンパ節転移がみられた。
発生母地として, 日光角化症3例, タール角化症 (?) ・熱傷瘢痕・慢性放射線皮膚炎・巨大尖圭コンジロームが各1例であったが残りの4例は不明であった。
11例中5例が死亡し, 1例に再発をみるが, 残りの5例は現在再発を認めていない。