10B1-paraboronophenylalanine (10B1-BPA) はdopa analogとして黒色腫細胞に取り込まれ, 黒色腫の熱中性子捕捉療法 (TNCT) に有用なことがin vitro培養細胞およびin vivo黒色腫担癌動物で証明されている。
今回は, 10B1-BPAをヒト黒色腫治療に適応するため, 本化合物がさらに特異的に黒色腫細胞に取り込まれる至適条件を追求した。
Tyrosineとphenylalanine不含MEM (D-MEM) に10B1-BPAを添加して黒色腫細胞をpre-incubationするとTNCTは通常MEMに10B1-BPAを加えてpre-incubationした場合に比較し, 著しい致死増強がみられた。また, ヒト黒色腫細胞もB-16 melanoma cellsと同様に, 10B1-BPAを用いたTNCTで致死増強を示した。
これらの結果は, ヒト黒色腫のTNCTにおいては, 血中tyrosineとphenylalanineを低下させた条件で10B1-BPAを投与すると一層致死効果が亢まることを示唆する。