Skin Cancer
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メラノーマに対する免疫療法における最近の展開
河上 裕
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2004 年 19 巻 1 号 p. 25-33

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抄録

メラノーマにおいては, 網羅的遺伝子解析技術などの分子生物学的および免疫学的手法を用いたT細胞認識腫瘍抗原の同定が進んでおり, 同定腫瘍抗原ペプチドで作製したHLAテトラマーなどを用いた, 患者における抗腫瘍T細胞の生体内動態の詳細な解析が行われ, 腫瘍組織内の阻害因子, 制御性T細胞など, 免疫学的腫瘍拒絶における問題点が細胞・分子 レベルで明らかにされつつあり, 一部ではその克服法も開発されている。このような臨床・基礎研究とマウス腫瘍モデルを用いた研究を基にして, 各種新しい免疫療法が実施され, 改変腫瘍抗原ペプチド, 組換えウイルス, 各種樹状細胞を用いた能動免疫法, 抗CTLA-4抗体併用投与, リンパ球減少性前処置後のT細胞養子免疫療法などで抗腫瘍効果が認められている。今後, これらの最新の知見を基にメラノーマに対する免疫療法の一層の改良が期待されている。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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