80歳, 男性。脂漏性湿疹, 爪甲白癬にて当院皮膚科外来通院中であったが, 2007年8月右腋窩に紅斑が出現しているのに気付き, 8月30日の受診時にその旨を訴えた。受診時右腋窩に自覚症状を欠く鶏卵大くらいの境界不鮮明な浸潤を触れない紅斑がみられた。外用薬による治療を2ヵ月間続けたが皮膚症状は変化しなかった。皮膚生検の結果, 表皮内に明るい胞体を有する異型細胞が多数みられた。陰茎包皮と陰嚢皮膚に淡い紅斑を認めたため, 数個所より生検を行ったが, 異型細胞はみられなかった。左腋窩, 臍部, 肛門周囲には肉眼的に明らかな皮膚病変はみられなかった。以上より右腋窩のみの乳房外Paget病と診断し, 健常部を3cm含め, 筋膜直上で切除し, 分層植皮を行った。所属リンパ節や他臓器への転移はみられなかった。腋窩のみに病変を有する乳房外Paget病は稀と思われ, 報告する。