3 巻 (1988) p. 142-146
75歳女性, 右頬部のMerkel cell carcinoma。86歳女性, 右耳前部のmalignant trichilemmoma。86歳女性, 左頬部のlentigo maligna melamoma。以上3例の腫瘍広汎切除後に, 含皮下血管網遊離全層植皮術 (いずれも鎖骨下部より採皮) を用いた結果, 従来のほかの方法と比較して, 次のような利点が得られた。(1) 皮弁と比較して採皮部の犠牲が少なく, 手術操作もより簡潔で, 患者への侵襲が少ない。(2) もし再発が認められた場合, 皮弁より発見しやすく, また再切除しても犠牲が少ない。(3) 分層植皮と比較して, 植皮片の色調・質感が良好であり, 再発がなかった場合, 整容的再手術を行わなくてもすむ。以上の点から, 本法はリスクの悪い高齢者の顔面に対し, とくに有用な方法と思われた。