Skin Cancer
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真皮内侵入巣が汗腺分化を示したBowen癌の1例
岡部 好位宇原 久斎田 俊明
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1989 年 4 巻 1 号 p. 37-39

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抄録

75歳, 女性。初診の約5年前, 左手首に紅斑性皮疹が出現し, 半年前よりその一部が隆起してきた。初診時, 左手首屈側に20×25mmの紅斑落屑性局面が存在し, その局面内に直径4mmの丘疹が認められた。諸検査にて他臓器の悪性腫瘍は見出されない。病理組織学的には局面部の表皮は棍棒状に肥厚し, ほぼ典型的なBowen病の所見を示す。丘疹部では真皮内にbowenoid cellが充実性に増殖し, その一部に汗腺様の腺腔構造が顕著に認められた。腺腔様構造の腫瘍巣はCEA強陽性, 充実性胞巣の一部はS-100蛋白強陽性であった。DBAはいずれも陰性。以上より, 真皮内侵入巣の一部が汗腺分化傾向を示した特異なBowen癌と診断した。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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