Skin Cancer
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皮膚悪性腫瘍に対する遺伝子組換え型ヒト腫瘍壊死因子Sertenef (PT-050) の臨床第2相試験
池田 重雄石原 和之
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1990 年 5 巻 1 号 p. 210-226

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抄録

皮膚悪性腫瘍に対する遺伝子組換え型ヒト腫瘍壊死因子Sertenef (PT-050) の臨床第2相試験を全国29施設で実施した。悪性黒色腫, 菌状息肉症, 有棘細胞癌, 基底細胞癌, 乳房外パージェット病, 表皮内癌 (ボーエン病, 日光角化症) , メルケル細胞腫など計64例が腫瘍内投与により検討された。有効性の検討は完全例57例, 安全性の検討は適格例60例について行われた。
全病巣に投与した場合 (個体別I) の奏効率は悪性黒色腫60% (3/5) , 菌状息肉症100% (6/6) , 有棘細胞癌67% (4/6) , 表皮内癌80% (8/10) , メルケル細胞腫100% (2/2) であり, 優れた臨床効果を示した。
自他覚的副作用として発熱, 悪寒・戦慄, 全身倦怠感, 食欲不振, 頭痛, 注射部位の疼痛, 発赤, 腫脹などが, また, 臨床検査値異常としてGOT上昇, GPT上昇, ALP上昇などが認められたが, 重篤なものは少なく, ほとんどは投与終了後すみやかに消失した。
今回の検討により, 悪性黒色腫, 菌状息肉症, 有棘細胞癌, 表皮内癌, メルケル細胞腫などに対して, Sertenefの腫瘍内投与は優れた抗腫瘍効果を示し, 耐容可能であった事より, これらの皮膚悪性腫瘍の治療に有用な薬剤であると考えられた。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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