1991 年 6 巻 3 号 p. 397-402
皮膚B cell lymphomaの2例に対して, Southern blot法によるDNA解析を行った。
症例1: 48歳女性の背部に限局した皮膚原発と思われるB cell lymphoma。
症例2: 65歳男性の左眼瞼部および左頬部の腫脹を初発とした, 内臓への浸潤を伴うB cell lymphoma。
2例とも光顕および免疫組織化学を用いた表面マーカーの検索により診断を行った。
Southem blot法によるDNA解析: 症例1では, 免疫グロブリン遺伝子のheavy chain, κ chainのmonoclonal rearrangementが腫瘤部皮膚で観察された。症例2では, 腫瘤部皮膚に, heavy chainおよびκchainのmonoclonal rearrangementが観察された。いずれの症例も, 血液中に異常は認められなかった。
Southern blot法が, 皮膚B cell lymphomaにおいても, 光顕での診断を裏付ける十分な証明法であることを再認識し, かつ, 症例によっては診断に必要と思われた。