2011 年 10 巻 3 号 p. 203-208
45歳,女性。2009年5月より食後外出時に眼囲腫脹を繰り返し自覚した。2010年4月天ぷら摂取後外出し,顔面の腫脹が出現した。7月マフィン摂取後歩行しアナフィラキシー症状を来した。IgE-RAST では小麦,グルテン,ω5-グリアジンに陽性であった。アスピリン+小麦負荷によりアナフィラキシーが誘発された。病歴聴取により,約2年前から加水分解小麦含有石鹸を愛用していたことが判明した。加水分解小麦末のプリックテスト・パッチテストはともに陽性であり,即時型反応と遅延型反応が共存している可能性が示唆された。本症例は加水分解小麦含有石鹸の使用により経皮感作が成立し,小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの発症につながったと推測した。(皮膚の科学,10: 203-208, 2011)