皮膚の科学
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症例
肘リンパ節の著明な腫脹をみた MRSA ひょう疽の1例
仲田 かおり鷲尾 健堀川 達弥上田 亮介山本 剛
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2011 年 10 巻 4 号 p. 312-315

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抄録

66歳,男性。骨髄異形成症候群と急性骨髄性白血病にて治療を受けている。2010年4月某日より右第3指爪郭部に疼痛と熱感を伴う発赤と腫脹が出現した。2日後には右第3指全体に腫脹が拡大し,指背から内側にかけて紫斑があらわれた。また右肘には著明な腫脹が出現した。上肢 CT にて右肘窩から屈側に手掌大のリンパ節腫脹を認めた。指の切開および排膿を行い,セフトリアキソンとクリンダマイシンを投与したが創部膿汁より MRSA が検出されたため,バンコマイシンを追加したところ,指の紫斑を伴う腫脹および肘のリンパ節腫脹は速やかに改善を示した。近年,MRSA は院内感染型のみならず市中感染型によるものも問題となっており,また血球破壊毒素の一種である Panton-Valentine ロイコシジン (PVL) 産生株では症状が重篤化しやすく,これらの相違点や特徴も含めて考察する。(皮膚の科学,10: 312-315, 2011)

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© 2011 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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