皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
経腟分娩後に発症した Toxic shock syndrome の1例
伊東 由美子森本 圭介小川 浩平福本 隆也小林 信彦浅田 秀夫笠原 敬大野木 輝
著者情報
ジャーナル 認証あり

2011 年 10 巻 5 号 p. 417-423

詳細
抄録

32歳,女性。経膣分娩の8日後に 39°C 台の発熱と全身の紅斑が出現した。産褥熱が疑われ塩酸セフカペンピボキシルの内服を開始された。その2日後には下痢と粟粒大の膿疱が出現し,血圧低下を認めたため入院した。薬疹を疑い抗菌剤をシプロフロキサシンに変更してプレドニゾロンを開始した。開始後7日目頃には全身の紅斑は落屑を残して消失した。指趾と足底に膜様の落屑を認め toxic shock syndrome (TSS) を疑った。膣分泌物の培養で toxic shock syndrome toxin-1 産生性 MRSA が検出され,塩酸バンコマイシンの投与を行った。経腟分娩後に発熱と全身紅斑を認めた際には TSS も鑑別疾患の1つとして考慮する必要があると考えた。(皮膚の科学,10: 417-423, 2011)

著者関連情報
© 2011 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top