2011 年 10 巻 Suppl.16 号 p. 11-14
我々は,外因性 AD と内因性 AD に分け,知覚閾値と皮膚バリアの関連に注目し,両者に違いがあるかを検討した。 外因性 AD では,内因性 AD や正常コントロールに比べて皮膚水分量は有意に低く,皮膚蒸散量は有意に高かった。内因性 AD と正常コントロールでは皮膚水分量と正の相関を示し,皮膚蒸散量とは負の相関を示したが,外因性 AD では両者において相関はなかった。外因性 AD の無疹部では知覚閾値は,痒みの VAS において正の相関を示すが,内因性 AD では相関がなかった。 すなわち,外因性 AD は皮膚バリア能が低く,痒みが強いとむしろ外的刺激への感受性が減ることがわかった。反対に内因性 AD は皮膚バリアと痒み刺激に対する神経反応は保たれていた。(皮膚の科学,増16: 11-14, 2011)