皮膚の科学
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症例
2型糖尿病治療薬 シタグリプチン(グラクティブ®)により薬疹を生じた1例
高橋 三起子池川 歩美曽我 富士子山田 康子池田 佳弘
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2012 年 11 巻 2 号 p. 160-164

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抄録

54歳,男性。2型糖尿病に対してシタグリプチン(グラクティブ®)の内服をはじめた。開始後72日目より,体幹四肢に浮腫性紅斑と強いそう痒感が出現した。プレドニゾロンの内服を開始したが皮膚症状の改善を認めなかった。シタグリプチンによる薬疹の可能性を疑って内服を中止したところ,症状は軽快した。シタグリプチンにつき薬剤リンパ球刺激試験 (drug-induced lymphocyte stimulation test: DLST) とパッチテストをおこなったが両者とも陰性であった。内服テストでは皮膚症状の再燃を認め,中止後はすみやかに消失した。シタグリプチンによる紅斑丘疹型薬疹と診断した。シタグリプチンは市販後調査において皮膚・皮下組織障害が167件報告されており,うち2件は Stevens-Johnson 症候群であった。シタグリプチンの薬疹で論文として発表されているものは,現段階で調べ得た限りでは国内外合わせて3件1~3)と少ないため報告する。(皮膚の科学,11: 160-164, 2012)

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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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