2012 年 11 巻 3 号 p. 215-219
4ヶ月,男児。生後数日から哺乳後に嘔吐を繰り返したため,新生児・乳児消化管アレルギーを疑われて加水分解乳による哺育を開始された。生後3ヶ月頃から間擦部のびらん・紅斑と脱毛を認めたため当科を受診した。加水分解乳のみで哺育中であったため,ビオチン欠乏症を考えてビオチンの投与を初診時より開始したところ2週間で皮膚症状の改善を認めた。その後,離乳は通常通り進み,生後8ヶ月時にビオチンの内服を中止したが,皮疹の再燃は認めなかった。本邦の加水分解乳にはビオチンが添加されておらず,加水分解乳のみの栄養補給ではビオチン欠乏症に陥ることがある。(皮膚の科学,11: 215-219, 2012)