皮膚の科学
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ステロイド外用療法を再考する:何を,どれだけ,どこに,いつまで,ぬるか?
片岡 葉子
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2012 年 11 巻 Suppl.18 号 p. 2-8

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抄録

アトピー性皮膚炎は,症状がコントロール維持されると自然寛解が期待される疾患である。したがって,症状はない,あっても軽微で,薬物療法もあまり必要としない状態を維持することが治療のゴールである。ゴールのためには適切な炎症制御が重要であり,その中心的役割はステロイド外用薬にある。2008 年以降,血清TARC をバイオマーカーとしてアトピー性皮膚炎の病勢を高感度で把握できるようになり,難治例のステロイド外用の方法を見直してみると,治療不足で遷延化,重症化している患者が相当存在していることが明らかとなってきた。医師個人の裁量に任されていた外用方法を改めて見直す必要がでてきたのである。ステロイド外用療法の戦略は“loose care”ではなく,“tight control”であるべきことを,proactive 療法の有効性,血清TARC 値の変動と治療効果,乳児重症患者におけるIgE 上昇率の差異等から論じた。さらに,“tight control”成功の外用戦略を提案し,通常行われている外用方法の問題を,何を,どれだけ,どこに,いつまで外用するかに分類して再考した。(皮膚の科学,増18: 2-8, 2012)

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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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