皮膚の科学
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症例
当院における皮膚血管肉腫16例の治療経験
桑原 理充萬木 聡飯岡 弘至山中 佑次佐々木 智賀子中西 崇詞谷口 晃淺井 英樹福本 隆也小林 信彦浅田 秀夫
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キーワード: 皮膚血管肉腫, 手術, 予後
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2014 年 13 巻 4 号 p. 273-277

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抄録

2000年から2012年に奈良県立医科大学を受診した血管肉腫患者16名について,前駆病変なく小病変に手術を行った群(手術群),前駆病変なく手術を行わなかった群(非手術頭部群),慢性リンパ浮腫または放射線照射を背景に発症した群(前駆病変群)の3群に分け比較した。直径 1.2cm 未満の小さな病変であった手術群は,手術および集学的治療を行った結果,再発を認めなかったことから,このような小さな病変では今後も積極的に手術を行うべきと考えられた。非手術頭部群は受診までの期間が長く,病変が大きいものが多かったことから,早期発見のため社会啓蒙が重要と考えられた。この群では放射線療法,化学療法は一定の効果を認め,予後の改善に寄与したと考えている。慢性リンパ浮腫や放射線照射後の症例は早期に受診していても病変が大きく,局所治療効果が乏しかった。(皮膚の科学,13: 273-277, 2014)

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© 2014 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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