2015 年 14 巻 2 号 p. 85-88
37歳,男性。初診時,左上背部に径 20mm の弾性軟な有茎性暗赤色結節を認めた。病理組織学的には真皮浅層から深層にかけて紡錘形の腫瘍細胞が増殖し,腫瘍内には多核巨細胞や出血像,ヘモジデリンの沈着,赤血球で満たされた裂隙を認めた。免疫組織化学染色では ビメンチンが陽性,CD68 が一部陽性,CD34,EMA,デスミン,Melan-A,S-100,HMB-45 が陰性であった。以上より aneurysmal fibrous histiocytoma と診断した。本症は臨床的に悪性腫瘍との鑑別診断が必要になり,免疫組織化学染色がその一助になりうると考えられた。PET/CT で SUVmax はやや高い値を示したが,線維芽細胞性の腫瘍細胞成分が豊富なためと考えられた。(皮膚の科学,14: 85-88, 2015)