皮膚の科学
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症例
難治性潰瘍として3年間経過したのちに診断にいたった類上皮肉腫の1例
亀井 利沙中井 大介溝口 奈穂松本 考平西尾 優志松下 哲也中井 千晶春日井 務久田原 郁夫池上 隆太
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2015 年 14 巻 5 号 p. 242-246

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抄録

40歳代,女性。約3年前より右足背に結節を自覚していた。近医で切除され良性肉芽組織反応と診断されたが,術創が自壊して徐々に潰瘍が拡大したため当科を受診した。右足背に 23×13mm の境界明瞭な潰瘍を認めた。病理組織学的所見では,潰瘍部・健常部の皮下に結節状に類円形の上皮様細胞の増殖・浸潤を認めた。腫瘍細胞はサイトケラチン,EMA,ビメンチン,CD34,CA125 が陽性で類上皮肉腫と診断した。類上皮肉腫は初期診断が難しく,しばしば良性疾患として不完全な切除が行われている。治療抵抗性の難治性潰瘍では,類上皮肉腫の可能性も考える必要がある。自験例では診断に免疫組織化学染色が有用であった。(皮膚の科学,14: 242-246, 2015)

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© 2015 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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