2017 年 16 巻 1 号 p. 84-87
60歳代,男性。約1年前より右頭部に皮下腫瘤を自覚し,近医で穿刺・排液するも再発を繰り返すため切除した。病理組織学的には,皮下に多房性の嚢腫構造を認め,嚢腫壁を構成する細胞は立方状でやや大型の好酸性の細胞質を有し,嚢腫壁の内腔側には断頭分泌像と乳頭状増殖を伴っていた。また,胞体の明るい細胞が管腔を形成して増殖する部分も認めた。免疫染色では,乳頭状増殖部の嚢腫壁を構成する細胞は GCDFP-15 および CK7 が陽性であった。アポクリン腺分化を示す嚢胞性腫瘍には,apocrine cystadenoma や apocrine hidrocystoma,apocrine papillay cystadenoma などがあり,それらの名称に関して文献的にも様々な見解はあるが,自験例は組織学的特徴から apocrine cystadenoma と診断した。(皮膚の科学,16: 84-87, 2017)