皮膚の科学
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研究
富田林病院で実施している皮膚がん検診
中川 浩一
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2017 年 16 巻 3 号 p. 176-185

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抄録

富田林病院では2005年11月から2016年12月までに134回の皮膚がん検診を行った。検診は毎月第3水曜日とし,1日16人までの予約制で行なった。総受診者数は1,384名で男性487名(35.2%),女性897名(64.8%)であった。平均年齢は52.3歳で,性別では男性が54.3歳,女性が51.3歳で,女性の方が若干若い傾向にあった。検診結果は以下の3段階で判定した。1)皮膚がんの可能性は極めて低いと思います。時々,大きさや色の変化を観察してください,2)皮膚がんの可能性があります。皮膚科専門医を受診して,検査を受けることをお勧めします,3)すでに,皮膚がんもしくは前がん状態になっていると思います。そして,この結果を記載した報告書を手渡し,一部の受診者には経過が見やすいように病変の写真も貼付した。2)の判定者の一部は当院で生検を受け,24名が皮膚がんであった。3)と併せて34名の皮膚がん患者が抽出された(34/1,384;2.46%)。がんの種類は光線角化症;18例,基底細胞癌;13例,ボーエン病;1例,悪性黒色腫;1例,菌状息肉症;1例であった。本邦においては当科以外にも和歌山県や大分県で同様の皮膚がん検診が行われており,その方法や結果と比較検討した。皮膚がん検診は他のがん検診に比較して,低コストでがん発見率の高いことが示唆され,海外のような大規模な皮膚がん検診が本邦でも行われることが望まれた。(皮膚の科学,16: 176-185, 2017)

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© 2017 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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