皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
症例
無菌性髄膜炎と多発単神経炎を合併した日本紅斑熱の1例
五木田 麻里山田 陽三葉 乃彰藤田 博己夏秋 優
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 16 巻 3 号 p. 186-190

詳細
抄録

60歳代,女性。発症の20日前に淡路島北部にて墓掃除,発症の10日前に六甲山南側の山麓部にて木の剪定作業を行った。8月中旬より発熱,全身の皮疹が出現したため,当科を受診した。初診時,体幹,四肢を中心に淡い紅斑が多発し,手掌や足底にも紅斑を認めた。また,下腹部に2ヶ所の刺し口を認めた。検査所見では白血球増加,血小板低下,CRP 高値,肝障害,CK 上昇を認め,ペア血清による Rickettsia japonica 抗体価の有意な上昇を認めたことより日本紅斑熱と診断した。ミノサイクリンの投与により皮疹は軽快したが,経過中に後頸部痛と四肢運動感覚障害が出現し,精査の結果,無菌性髄膜炎,多発単神経炎と診断した。その後,アジスロマイシンとシプロフロキサシンの投与でこれらの神経症状は軽快した。日本紅斑熱に神経障害を合併した例は自験例以外に5例報告があり,全例無菌性髄膜炎を認めたが多発単神経炎の合併は自験例のみであった。(皮膚の科学,16: 186-190, 2017)

著者関連情報
© 2017 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top