皮膚の科学
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症例
Antiretroviral Therapy(ART)が著効した AIDS 関連 Kaposi 肉腫の1例
鷲見 真由子小谷 晋平小坂 博志小川 真希子長野 徹進藤 達哉亀井 博紀
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2017 年 16 巻 3 号 p. 195-200

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抄録

30歳代,男性。同性愛者。ニューモシスチス肺炎発症を契機に AIDS と診断されている。4ヶ月前より両側足底に硬結,圧痛を伴う境界明瞭な母指頭大までの暗紅色班が散在性に認められ,増数してきた。皮膚生検では真皮内に結節状に短紡錘形細胞が密に増生し,スリット状の管腔が混在している所見を認めた。免疫組織染色では,異型細胞は CD31,CD34,Factor VIII,D2-40,HHV-8 がび漫性に陽性であった。臨床所見と併せて AIDS 関連 Kaposi 肉腫と診断し抗 HIV 療法(antiretroviral therapy: ART)を開始し略治した。最近内臓病変を伴わず皮膚のみに病変を認める AIDS 関連 Kaposi 肉腫では抗がん剤を使用せず,細胞免疫を賦活する ART のみで経過をみることが標準とされている。本邦における AIDS 患者は増加しており,Kaposi 肉腫に遭遇する機会の多い皮膚科医も本疾患の治療に通暁しておく必要がある。(皮膚の科学,16: 195-200, 2017)

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© 2017 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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