皮膚の科学
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症例
ヒドロキシクロロキンによる多形紅斑型薬疹の発症が疑われたが,少量からの漸増プロトコールによって内服再開が可能となった円板状エリテマトーデスの1例
木谷 美湖野松澤 惇濱岡 大小倉 香奈子永井 宏錦織 千佳子
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2017 年 16 巻 6 号 p. 404-410

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抄録

ヒドロキシクロロキン(HCQ)は既存治療で効果の得られなかった CLE や SLE の皮膚病変に対して有効例が多く使用例も増えてきているが,薬疹の出現により内服中止を余儀なくされる症例が散見される。今回我々は,HCQ 投与後に多形紅斑型薬疹の発症が疑われ内服を中止したが,少量からの漸増プロトコールによって内服を再開し得た DLE の症例を経験した。症例は40歳代,男性。8年前より頭部,顔面に無症候性の円板状皮疹が出現し拡大してきた。皮膚病理組織学的検査で表皮基底層の液状変性を認め,抗核抗体は640倍であったが他臓器病変は認めず DLE と診断した。ステロイド軟膏およびタクロリムス軟膏の効果が不十分であったため,HCQ(400mg/日)の内服を開始した。内服開始17日後より体幹,四肢に播種状の浮腫性紅斑が出現した。HCQ 内服を中止し抗アレルギー薬内服,ステロイド軟膏外用により紅斑は改善した。DLE は HCQ により著明な改善を示していたため,患者の同意を得て 2mg/日より内服を再開し漸増するプロトコールによって,23日目に常用量の内服が可能になった。自験例では紅斑の出現時期や薬剤中止により速やかに消退を認めた点から HCQ の薬疹を疑ったが,パッチテスト,DLST がともに陰性であり,薬疹のアレルギー機序の関与については証明できていない。HCQによる薬疹が疑われた症例のうちどのような症例において再投与が可能なのか,また再投与時のプロトコールはどうすべきなのか,今後の症例の集積が望まれる。(皮膚の科学,16: 404-410, 2017)

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© 2017 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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