皮膚の科学
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症例
フロモックス®による多発性固定薬疹の1例
藤森 なぎさ東 祥子小林 佑佳加賀野井 朱里小澤 健太郎爲政 大幾
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2017 年 16 巻 6 号 p. 417-421

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抄録

70歳代,男性。2008年5月に感冒様症状を認め近医を受診した。セフメタゾン点滴,フロモックス,エンピナース1日分を処方され服用した。翌日にセフメタゾン点滴とミノペン点滴を施行された後に,全身に手掌大までの浮腫性紅斑が多発し,発熱を認め当院救命センターへ緊急入院した。皮疹はプレドニゾロンの投与によって多くは色素沈着を残して治癒し,一部は色素沈着を残さずに完全に消退した。臨床症状から固定薬疹を疑いフロモックス,ミノマイシン,セフメタゾン,エンピナースを被疑薬に挙げ,症状改善後に原因薬剤の検索を行った。DLST およびパッチテストは皮疹部,無疹部ともにいずれも陰性で,チャレンジテストでフロモックスが陽性であった。以上より自験例をフロモックスによる多発性固定薬疹と診断した。これまでフロモックスによる薬疹の報告は急性汎発性発疹性膿疱型,ざ瘡型,Stevens-Johnson 症候群型など7例と少なく,固定薬疹は自験例が初めての報告例である。また自験例では一部に,色素沈着を残さずに消退する非色素沈着型固定薬疹を認め,通常の固定薬疹に非色素沈着型固定薬疹が混在した点で比較的な稀な1例であると考えた。(皮膚の科学,16: 417-421, 2017)

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© 2017 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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