皮膚の科学
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症例
病理学的に角層下膿疱を呈したエルロチニブによる皮膚障害の 1 例
有馬 亜衣晋山 真知伊東 由美子小川 浩平小豆澤 宏明浅田 秀夫
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キーワード: EGFR 阻害薬, 角層下膿疱
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2018 年 17 巻 5 号 p. 270-273

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抄録

症例,60歳代,女性。初診 7 ヶ月前より肺腺癌に対しエルロチニブ 100 mg/日を内服開始し, 2 ヶ月後より下腿に皮疹を認めた。ステロイドを外用するも皮疹が悪化し当科を受診した。両下腿と右大腿の一部に数 mm 大の紅色丘疹が多発し,丘疹の一部には膿疱や痂皮を伴っていた。膿疱を伴った丘疹を生検したところ,角層下から表皮内に好中球性膿疱を認め,角層下膿疱と毛包との連続性はなかった。エルロチニブは継続したまま,ステロイド外用にミノサイクリンの内服を併用したところ 2 週間後には皮疹は消退傾向を呈した。その後もエルロチニブは継続されているが,再発はみられない。痤瘡様皮疹の報告の中に少なからず角層下膿疱を呈する症例が含まれる可能性が示唆された。 (皮膚の科学,17 : 270-273, 2018)

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© 2018 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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