2018 年 17 巻 6 号 p. 317-323
肉芽腫性乳腺炎に伴う結節性紅斑と診断した 2 症例を経験したので報告する。症例 1 は30歳代,女性。左乳房に疼痛を伴う皮下硬結が出現し,その 4 日後から両下腿,両肘伸側に圧痛を伴う紅斑が出現し,当科紹介となった。右下腿紅斑からの皮膚病理組織は,真皮血管周囲にリンパ球・好中球の浸潤があり,リンパ球浸潤が脂肪隔壁から小葉内に及ぶ septal panniculitis であった。左乳房皮下硬結部分からの病理組織では類上皮細胞が主体に浸潤した肉芽腫があったために臨床経過と併せて,肉芽腫性乳腺炎に伴う結節性紅斑と診断した。症例 2 は,40歳代,女性。当科初診の約 2 週間前から左乳房に有痛性の紅斑,皮下硬結が出現し,当科初診前日に右足内果付近に疼痛を伴う紅斑が出現した。 肉芽腫性乳腺炎の約20%に結節性紅斑を合併すると報告されている。結節性紅斑の一因として,肉芽腫性乳腺炎も考慮する必要がある。 (皮膚の科学,17 : 317-323, 2018)