皮膚の科学
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症例
失禁関連皮膚炎により陰部潰瘍を生じた 1 例
堀口 亜有未山本 喜啓桜井 健晴宮地 良樹藤井 弘子
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ジャーナル 認証あり

2018 年 17 巻 6 号 p. 328-332

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抄録

70歳代,女性。日常生活動作は自立していた。初診の約 1 年前から尿失禁があり,尿パッド代わりに生理用ナプキンを使用していた。陰部の皮膚炎を認め近医にて外用薬で加療されていたが改善せず,皮膚潰瘍に至ったため当科を紹介された。軟膏やパッドによる接触皮膚炎を疑い行ったパッチテストは陰性だった。びらん・潰瘍の範囲と失禁による汚染範囲が一致しており,失禁関連皮膚炎と診断した。生理用ナプキンを尿パッドに変更し,膀胱留置カテーテルと骨盤底筋体操,酸化亜鉛軟膏による撥水と尿パッドを頻回に交換することでびらん・潰瘍は改善した。失禁関連皮膚炎は,尿や便の失禁とおむつや尿パッドによる湿潤環境・摩擦が複合的に関与して生じる。患者は生理用ナプキンを使用していたため溢れた尿が皮膚表面に長時間接触し,皮膚の浸軟が過度に生じ潰瘍に至った可能性を考えた。生理用ナプキンと尿パッドでは吸水量に差があり注意が必要である。日常生活動作が自立していても失禁を認める患者では,失禁関連皮膚炎に留意する必要がある。 (皮膚の科学,17 : 328-332, 2018)

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© 2018 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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