皮膚の科学
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Dr.村田の Clinico-pathological notes
(10)「蘭学で事は始まった」
村田 洋三
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電子付録

2019 年 18 巻 5 号 p. 256-278

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抄録

日本語の医学用語のルーツを辿るためには,古書の調査が必須である。その作業には,これまでは,古書を参照できる特殊な環境が必要であった。しかし,インターネットが普及した現在では事情が異なってきており,医学関係に限らず古書のデジタル保存と公開が進展している。また一部の古書では文字情報もデジタル保存・公開され,検索が極めて容易である。 しかし,これらの電子資料は膨大なものであり,歴史的な流れを知った上でないと,取捨選択が困難である。そのガイドとなる資料は,皮膚科学分野においては,未だ存在しない。本稿では,オンラインで閲覧できる電子資料,特に皮膚科学に関係しうる資料を,日本の医学の歴史的時間軸に沿って紹介する。 その中で明らかになったことは,○1 「母斑」という用語の初出は,杉田 立りゅう卿けい (杉田玄白の次男) の『眼科新書』であること,○2 その,Plenck JJ によるラテン語原著では「母親の想像力が原因となることが強く考えられる」と記載されていること,○3 明治政府のドイツ医学採択以前に,蘭学医は当時としては最新のヨーロッパ医学,そして皮膚科学を理解していたこと,である。 (皮膚の科学,18: 256-278, 2019)

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© 2019 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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