皮膚の科学
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使用試験
EGFR 阻害薬の皮膚障害に対するノブ○R スキンクリームDの有用性評価
奥野 愛香平川 結賀道祖 友美子森野 伊知子村上 有美松中 浩古川 福実
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2020 年 19 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

肺癌治療において選択される上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬は,治療効果が高い反面,皮膚障害が高頻度に発現する。そのため,EGFR 阻害薬の治療効果を継続的に発揮する上において,皮膚障害を軽減・緩和することが必要不可欠である。また皮膚障害の中で頻発する乾燥症状に対しては,ヘパリン類似物質含有製剤や白色ワセリンなどの医療用保湿剤が汎用されているが,継続的に使用するためには,べたつきがなくのびなどが良く患者の嗜好に合った保湿剤が求められる。本研究では,EGFR 阻害薬を投与中で医療用保湿剤を外用している肺癌患者12名を医療用保湿剤継続とノブR スキンクリームDへの切り換えの 2 群に分け,塗布部(前腕内側部)および無塗布部(上背部)において,皮膚状態評価(乾燥,かゆみ,紅斑),表皮角層水分量測定,表皮角層解析(IL-1ra/IL-1αthymic stromal lymphopoietinTSLP],重層剥離度,トリプシン活性),さらに,quality oflife QOL)調査および使用感アンケートを実施した。保湿剤の切り換え 8 週後において,医療用保湿剤群よりもノブR スキンクリームD群の方が重層剥離度および QOL(症状スコア)が有意に低く,それ以外の項目においてはほぼ同等であった。これらの結果から,本研究に用いたノブR スキンクリームDは,EGFR 阻害薬の皮膚障害に対し従来の医療用保湿剤と同等の改善効果を有し,かつ,患者のQOL を改善することが明らかとなった。EGFR 阻害薬の皮膚障害による使用離脱を回避し,継続的な治療効果の発揮に寄与できるものと期待される。 (皮膚の科学,19 : 38-46, 2020)

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© 2020 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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