皮膚の科学
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症例
レボフロキサシンによるアナフィラキシーの 1 例
藤本 真由夏秋 優永井 諒今井 康友山西 清文
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2020 年 19 巻 4 号 p. 244-250

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抄録

20歳,男性。初診の半年前に感冒症状に対し,近医内科でレボフロキサシン,ロキソプロフェンナトリウム(以下,ロキソプロフェン),およびメキタジンを処方された。内服を開始して 1 週間後に膨疹が多発したためセチリジン塩酸塩を処方され,翌日には改善した。その 3 ヶ月後に,感冒症状でレボフロキサシンとロキソプロフェン服用後に膨疹と呼吸困難感が出現したが,セチリジン塩酸塩内服で改善した。初診の 2 週間前に感冒症状に対してレボフロキサシン,ロキソプロフェンを服用した30分後に全身の瘙痒,発赤,膨疹,呼吸困難感,嘔気が出現し救急搬送された。治療を受け,症状回復後,薬剤アレルギー精査目的で当科を紹介されて受診した。入院の上でレボフロキサシン,ガレノキサシン,セフカペンピボキシル,ロキソプロフェンを用いたスクラッチテストを行ったところ,15 分後にレボフロキサシンで陽性反応を認めた。ロキソプロフェンによる内服テストは陰性であった。 以上より,自験例をレボフロキサシンによるアナフィラキシーと診断した。自験例ではレボフロキサシンによる好塩基球活性化試験を施行したが陰性で,診断には皮膚テストが有用であった。しかしニューキノロン系抗菌薬による即時型アレルギーにおける皮膚テストや好塩基球活性化試験の陽性率は高くないとされており,皮膚テストが陰性の場合は内服テストが必要と思われる。 (皮膚の科学,19 : 244-250, 2020)

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© 2020 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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