2003 年 2 巻 6 号 p. 545-550
ヒスタミンは,H1受容体を介す平滑筋収縮,血管透過性亢進とH2受容体を介す胃酸分泌促進の三大薬理作用をもち,過剰反応は,それぞれ,I型アレルギー性疾患,消化性潰瘍で,治療薬としてH1,H2ブロッカーが用いられている。しかし,ヒスタミンは,それ以外にも,中枢機能,免疫調節,細胞増殖など重要な役割を果たしているといわれているが,生理学的な作用は不明である。本講演では,PET(Positron Emission Tomography)を用いた第二世代抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー)の非鎮静性機構の研究を述べた後,ヒスタミンの産生酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素遺伝子のノックアウトマウスを用いたヒスタミンの既知作用の確認と新規作用に関する研究を紹介した。