皮膚の科学
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症例
全身性に紫斑を呈し自己免疫性溶血性貧血と 赤芽球癆を併発した健常高齢者のヒトパルボウイルス B19 感染症の 1 例
冨安 弘花西山 瑞穂遠藤 雄一郎野村 尚史小嶌 綾子椛島 健治
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2021 年 20 巻 4 号 p. 325-331

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抄録

78歳,男性。第 0 病日,発熱と全身倦怠感を発症したが自然軽快した。第19病日,倦怠感と紫斑を混じる紅斑が全身に出現した。全身の深部リンパ節腫脹と脾腫を認め,悪性リンパ腫を疑ったが検査結果は否定的だった。第21病日からプレドニン 20 mg/日,第25病日から 60 mg/日が投与され皮疹は第34病日に消褪した。しかし第42病日以降,貧血が進行し赤血球輸血を行った。直接 Coombs 試験陽性であり,骨髄生検で赤芽球の著減が確認されたことから,自己免疫性溶血性貧血および赤芽球癆と診断した。初診時(第25病日)の血清ヒトパルボウイルス B19 IgM は陰性だったが,第46病日に陽転していたことから,最終的にヒトパルボウイルス B19 感染症と診断した。患者に免疫不全症や溶血性貧血の既往はなかった。原因不明の紫斑をみた場合,ヒトパルボウイルス B19 感染症も考慮すべきである。 (皮膚の科学,20 : 325-331, 2021)

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© 2021 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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