アトピー性皮膚炎の冬季の皮膚乾燥を的確にコントロールするには脂質および水分の両側面からの保湿治療を行うことが重要である。脂質に関しては,尋常性魚鱗癬合併の有無を鑑別し,合併群では全身に保湿が必要であるが,非合併群では保湿剤を全身に使用する必要はない。非合併群では限局して見られる皮膚の乾燥は湿疹続発性であるので,この湿疹病巣部には保湿剤の外用は不適切であり炎症を抑制できるステロイド剤などを使用するべきである。水分の側面からはフィラグリンの動態から尋常性魚鱗癬合併群では全身性の乾燥に対して保水が重要であり,非合併群の限局性にみられる湿疹病巣部の2次的な乾燥に対しても保水が重要であると考えられた。