アトピー性皮膚炎に対する治療マーカーを検討する際には,皮疹の重症度とかゆみの2点を考慮し,相関関係,有用性,特異性および侵襲性を重視すべきである。本症における神経系因子の特徴解析の結果,血中ではサブスタンスPおよび神経成長因子が本症の皮疹の重症度と相関した。また,尿中および唾液中では神経成長因子および遊離型神経成長因子受容体がアトピー性皮膚炎のかゆみと密接に相関しており,抗アレルギー薬などによるかゆみの軽減との密接な関連性が認められた。アトピー性皮膚炎に特異的な単一の神経系因子は同定されていないが,複数の因子を組み合わせることにより神経系因子は本症の有用な治療マーカーになりうると考えられる。