皮膚の科学
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症例
グルカゴンの上昇と亜鉛の低下を伴った壊死性遊走性紅斑の1例
中東 恭子谷岡 未樹神戸 直智宇谷 厚志宮地 良樹
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2007 年 6 巻 3 号 p. 246-249

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抄録

76歳男性。胃癌による胃切除,アルコール依存症の既往がある。3ヵ月前から体幹を中心にそう痒を伴う類円形で,厚い鱗屑・痂皮を有する紅斑が多発し,環状を呈する皮疹も混じていた。同時に爪甲の変形白濁,舌萎縮,口角炎,外陰部のびらん,腎機能の悪化,急激な体重減少,下肢と陰嚢の浮腫,貧血がみられた。組織検査では,表皮上層の変性像,角層下膿疱,真皮上層の強い浮腫,好中球主体の細胞浸潤を示した。壊死性遊走性紅斑を疑い原因検索を行ったところ,低蛋白血症,低亜鉛血症,グルカゴン軽度高値が認められた。治療としてアミノ酸製剤を投与したところ急速に皮疹は軽快した。亜鉛欠乏を伴っていたため亜鉛欠乏性皮膚炎との鑑別を要した。

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© 2007 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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