2007 年 6 巻 3 号 p. 271-274
24歳,女性。初診1ヵ月前より右臀部に淡青緑色に透見される拇指頭大の皮下腫瘤を触知したため受診した。切除した際,リンパ液様の内容液が流出した。病理組織像にて線毛を有する一層の立方状上皮で囲まれた嚢胞を真皮中下層に認めcutaneous ciliated cystと診断した。cutaneous ciliated cystは非常にまれな疾患で,本邦でも数例の報告があるのみである。その成因として,Müller管の迷入説または汗腺起源説が提唱されている。自験例は免疫組織学的にCEA,S-100陰性,エストロゲン,プロゲステロンレセプター陽性でありMüller管由来説を示唆する症例と考えられた。