2007 年 6 巻 4 号 p. 376-381
81歳,女性。認知症にて施設入所中。結婚当時より手や頬に疣様皮疹があったが,初診の3ヵ月前より口唇に皮疹が生じ,急速に口唇全体に広がったという。上下口唇の赤唇部,粘膜部に顆粒状に紅色丘疹が密生。鼻背,左頬部,右下顎部には表面乳嘴状を呈する尋常性疣贅様丘疹が認められた。また乳暈部,外陰部,股部,臍周囲,両側腋窩には黒色表皮腫様局面がみられた。口唇部及び頬部の二箇所よりの生検組織について,ヒト乳頭腫ウイルスの型別検定を行い,両者ともHPV-31/33型と判明。約2週間のエトレチナートの内服にて皮疹は消退傾向を示したが,初診の5ヵ月後に死亡。