2008 年 7 巻 2 号 p. 183-188
脂腺母斑は,頭頚部に出現することが多いが,今回、腕や体幹の広範囲に脂腺母斑を有する32歳の男性を経験した。生下時より左胸部から背部にかけて列序性,帯状,一部は敷石状に常色から淡褐色局面が存在している。幼少時に脂腺母斑と診断され,左肩周囲にレーザー治療を施された経験がある。数年前より,レーザー治療部位の再隆起,また局面上には黒褐色結節の発生を認めている。発生した二次性腫瘍は組織学的検査にてtrichoblastomaと診断した。脂腺母斑は基本的に切除するのが望ましいと考えられているが,本症例に関しては広範囲であるため単純切除は困難であり,治療方針の決定に苦慮した。今回,文献的な検討を加え,治療経過等について報告する。