2008 年 7 巻 4 号 p. 442-446
糖尿病患者の下腿に生じたnecrobiosis lipoidica(NL)に0.1%タクロリムス軟膏の外用を試みた。53歳,女性。2型糖尿病の診断で内服による加療を受けていた。2004年1月,右下腿に自覚症状の乏しい硬結を触れる紅斑があるのに気づいたが放置していた。徐々に皮疹は中枢側に拡大し,硬化の程度が増大してきたため2007年9月18日当科を受診した。右下腿前面に比較的境界明瞭な90×80mmの板状硬結を触れる鱗屑を伴う褐紫紅色局面を認めた。生検にてNLと診断し酪酸プロピオン酸ベタメタゾン軟膏を外用するも,炎症と硬化の程度及び面積に変化はなく0.1%タクロリムス軟膏の外用に変更した。外用変更4週間後には著明な硬化の程度の減少が,8週間後には炎症の程度の減少がみられ,16週間後にはほぼ色素沈着となった。