2008 年 7 巻 4 号 p. 454-459
Aspergillus nigerによる拇指爪の爪真菌症の3例を報告した。68歳,72歳,56歳の女性で,3例とも発症後,爪郭炎と爪甲剥離を生じた。直接鏡検で球形の頂嚢と暗褐色の分生子を認めた。培養によりA. nigerを分離した。1例では組織学的に爪甲下角質増殖部に菌要素を認めた。剥離した爪甲を切除し,爪床部の褐色の菌要素を機械的に除去し,治癒した。3例とも大きな基礎疾患のない症例であった。空中真菌であるA. nigerが微小な外傷により爪部に接種されて発症するものと推定した。