アトピー性皮膚炎(AD)は多病因的な疾患であり,個別に病態を考える必要がある。ADの病態としては,IgE依存性および接触アレルギーといった免疫学的機序,バリア障害による非免疫学的機序の2つがあげられる。治療において重要なポイントは,個々の症例ごとに強く関与する病態を考え,早期介入によって適切かつ十分な治療を行うことである。早期介入とは,アレルゲンの感作を予防する発症予防と発症早期に適切に治療する増悪予防の2つに大別される。このような早期介入を積極的に行なうことにより,増え続けるアレルギー疾患に歯止めをかけることが出来る。さらに,皮疹の重症化を予防し寛解の状態を継続することによって,AD患者のQOL向上に貢献できる。